⑮罪深きシースルーの世界

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人新世のパンツ論〈花鳥風月編〉

ジェントルマンでいたいなら、パンツに学べ

 
 私は「調子を上げるパンツ」とは何かを考えている。その究極的なスタイルは、ジョックストラップ(jockstrap)ではないかという仮説を持ってして最終的な結論に導こうと企てる。
 
 とはいえ、実のところ、私は自分の「お尻を見られる」ことに抵抗があり、その羞恥心が極まりない。
 お尻は、見られるのが恥ずかしい――。
 さんざっぱらここまでパンツ論を展開しておいて、何を今さら、と思うかもしれないが、いま私はけっこう意外なことを吐露してしまったようである。でもそれは、本当のことなのである。
 

透けパンの存在価値

 
 「調子を上げるパンツ」としてのジョックストラップを取り上げる前に、シースルー・タイプのパンツについても取り上げなければならないと考える。
 
 シースルー・タイプのパンツとは、いわゆる“透けパン”のことである。
 
 穿いたパンツから薄っすらと《男性部》の一部もしくは全てが透けて見えてしまうというパンツ。それを指してエロいパンツともいう。
 

「見える化」された効果と羞恥心

 一方において、自身の《男性部》の存在を打ち消す効果のあるトランクスについては、既に語った(「⑬トランクス派はピューリタン?」)。それとは真逆の効果を発露するのが、シースルー・タイプである。
 生地はレースだったり、ナイロンだったり、ポリアミドだったりと様々な工夫が施されていたりするが、こうしたパンツの目的は、《男性部》をあえて「見える化」して透け感を強調することで、穿いた本人と、他者にチラ見された時のセクシュアルな欲望を掻き立てる材料として、その要請を全面に打ち出した特殊な下着なのであった。
 これを称してエロいパンツ、セクシーなパンツと呼んだりしているのが一般的な表現ではあるが、「見える化」の観点で、さらに愚直なことばでいい表すならば、「スケベなパンツ」と私は定義したい。
 
 いま私はあなたに、このパンツの想像をかき立てようとしている。だがそれは、見せようというスケベ心というよりは、〈ああ、見えてしまう…〉という恥ずかしげなか細い心情を増幅させるものであることを断っておく。
 
 ともかく最初、私がこうしたシースルー・タイプの存在を知った時、〈そんな透けパンなんて…〉と嫌悪したのを覚えている。《男性部》が透けることよりも、むしろ“お尻が透けて見えてしまう”ことに抵抗を感じたのだった。
 だから本当のことをいうと、こうしたパンツについてはスルーしたい。シャレでいっているのではない。ぜひとも無視したかったのだ。
 
 確かにそうした羞恥心は消えない。しかしながら、私の気持ちは変わっていった。
 
 それ自体が「透けている」ということで、穿いている自分の意識をまさしく下半身に向けて高めることができる――。それがシースルーの真骨頂。トランクスではそれが不可能なのだ。だから真逆の選択肢として、シースルー・タイプの存在意義は否定的なものでなくていいと思うのだ。
 ただし、シースルーは危険なパンツである。プライベートゾーンをさらすリスクが伴う。それだけではない。穿く環境に用心しなければ、迂闊にもセクハラ行為と認められてしまうことになりかねないので、他者へのじゅうぶんな配慮と細心の注意が必要なのだ。
 

おじさんの「透け乳首」問題

 

おじさんの透け乳首はセクハラか?

 
 透けることの問題点について触れておく。
 
 去る先月、ライブドアニュースで思いがけず衝撃を受けた。
 「男性の透け乳首『セクハラ受けてる気分』指摘して改善しない場合は問題に」(2026年7月27日付)
 
 夏の職場で、男性が着る薄手のシャツから「乳首が透けて見える」案件。
 なんとSNSでは、「透け乳首問題」として話題になったというのだ。
 
 おじさんの透けてる肌
 その乳首
 見たくない――
 
 こんな女性の声もある。「なにもされていないのにセクハラ受けてる気分になります」
 
 記事によると、この一件に関しては、社内の男性も“同性の「透け乳首」で気分が悪くなる”として上司に報告したのだという。
 それでどうなったか。なんと逆に「ワイシャツの本来の着方だから」といわれて却下されたのだった。
 
 職場での「透け乳首」=“性的な不快感”は、ハラスメントに当たるかどうか?
 
 ある弁護士によると、性的な言動による不快感で仕事に支障が生じる「環境型セクハラ」に当たるかどうかは、その人の意図に限らず、《言動の内容や頻度、職場の状況、受け止め方などを総合的に考慮して判断されます》とのこと。
 「透け乳首」が即セクハラになるケースは多くないが、改善をうながして、それが改善されなければ問題になることがある――とも。互いが快適に働ける環境を維持することが重要だとする。
 
 環境に無配慮な衣服を着ることによって、それが“性的な不快感”につながることがあるのだ――ということをじゅうじゅう承知したうえで、シースルー・タイプのパンツについてとうとうと語っていく。

 【ご注意】ここから先、かなり露骨な下着をお見せすることになるので、全くもってスルーしたい方、“性的な不快感”を覚えるという方は、閲覧をご遠慮願いたいのである。
 なお、シースルー・タイプのパンツに関しては、前シリーズ「⑫ゆとれぬパンツの危険な冒険」でも取り上げているので、そちらもご参考にしていただければと思う。


「透け感」の本当の意味

 パンツ論のシリーズを長々と3年以上やっていて、思うことがある。
 私自身はもうそれこそ何十枚とパンツ姿を紹介してきて、その結果、私の下半身を多くさらしてきた。隠れている《男性部》を如実に想像される方も少なくないだろう。
 見えていないものこそ、解像度を上げて想像してしまうのは当たり前のことだ。青沼さんの《男性部》は、こんな形をしているのではないか、すんごい色をしていながら、大した大きさではないのではないか、と想像されてもおかしくはない。
 
 大した大きさではないと私自身も思うし否定しないが、多くのビジターから、あまりに多様な想像をされて、実物との乖離が甚だしいのも悩ましい。
 いや、勝手に想像していろ――とは思った。しかしやっぱり、あまりに美化されすぎるのも困るし、逆にひどく劣化した《男性部》を思い浮かべられて、破廉恥な“恥部”として虐待的な想像をされるのは、もっと嫌だ。そのことは少し、訂正すべきではないかと気づいた。本当の私のアレは、こうなのですと…。
 
 それを考えた時、シースルー・タイプのパンツの「透け感」の意味が、なるほど、そうなのかと、ようやくわかってきたのである。
 
 透けていて中身がちらりと見えるから、掻き立てる《男性部》の想像を、極端に右でも左でもない“おおむねど真ん中”のストライクゾーンに定めることができる――それがシースルーの本来的な役割。

 セックスのパートナーに、あらかじめぼんやりと《男性部》の立体像を思い浮かべてもらうことは、決して意味のないことではないし、穿く方も無駄な努力ではないだろう。
 あまりに巨大なもの、あまりに極小のものを勝手に想像され、パンツを脱いだ時に〈なーんだ、これ〉と落胆されるくらいなら、「透け感」でまず示しておいたほうが良さそうだ。だいたいこんな感じですよと、相手の脳内に形なり寸法なりを刻み込んでもらう。そうすれば、こんなことをして弄んでみようと、戦略を練ってくれるかもしれないのだ。
 

 
 さあ、ここからは本当に閲覧ご注意!
 

「見える化」されたパンツ

 ここでは、4つのシースルー・タイプを紹介する。
 

美麗な装飾が施されたショーツ

 
 まずいちばん無難だったのがこれ。意外にも、ラグジュアリーな白のショーツ。
 
 穿き心地として、違和感はない。
 とはいえ、ラグジュアリーな下着を身につける日常生活に私は没入していないので、どんなシチュエーションでこれを穿けばいいのかわからない。とてもセクシュアルで可愛らしいと思う。
 
 この白のショーツ、「透け感」という点では、“見えそうで見えない”タイプに属する。前シリーズの「⑦ラグジュアリーなランジェリー」で私はワコールのボクサータイプ(「BROS by WACOAL MEN」)を穿いたが、そちらは同様にしてラグジュアリーなパンツであっても、男性が日常生活でじゅうぶん雅やかに穿くことができるものと思われる。
 

風通しがあまりに良いシースルー

 
 2つめ。こちらのピンク色のパンツは、無数に穴の空いたジオメトリックなシースルー。
 なんというべきか、私が自宅で使っている“洗濯カゴ”によく似ている。風通しが抜群で「透け感」もやや高い。こうした肌色に近いピンクの色合いによっては、中身が透けているのにあまり目立たないのだ。シースルーの場合、色の選択次第で、「透け感」の度合いが違ってくることがある。
 

内穿きのサポーターとして相応しいショーツ

 
 次に、これ。白のショーツ。
 
 もうこちらは、かなり透けて見える。拝んでしまってもかまわない。《男性部》のほとんど全てが、聡明にわかってしまうシースルー。
 
 このパンツだったら、スポーツ用の短パンや水着を穿くためのサポーターとして活用できそうだ。
 昔、私が若い頃、コントの舞台に出演して、その際衣装としてプロレスラーのようなショートタイツを穿いたことがある。その内穿きのサポーターがこんなようだった。きわどいショートタイツから“いらぬご神仏”がはみ出ぬよう、こうしたようなサポーターを穿いたのである。しかし、ここまでは透けなかったと思う。
 
 全く透けている。デザインとしてもこのショーツは、あまりにシンプルなので、“見せ着”としてのパンツとしてはふさわしくないだろう。《男性部》を丸め込んで保護するという形状になっているので、見栄えが良くないのだ。やはりあくまで、サポーターとして活用すべきかと思う。
 

黒色のセクシーなシースルー

 
 4つめ。この黒のビキニは、金網のような形状をしていて、あっけにとられるほど鮮やかなシースルー。丸見えというやつである。
 
 まさにアレが網に絡め取られた感があるが、絡め取られてくすぶっているほど私のアレは消沈していない。爛漫としている。
 先ほどの白のショーツとは違い、《男性部》がすっぽりと収まる立体フロント構造になっているので、下向きで収まる形となり、セクシーさも悪くはない。見栄えという点では、もう究極のシースルー・タイプといっていいが、穿き心地も良く、“何も穿いていない”感覚に近いのだ。
 

シースルーの純度は様々だ

 今回紹介したシースルー・タイプのパンツは、扱いがかなり手強いものであり、その点において、「透け乳首問題」と同等の危険をはらんでいる。したがって、身につける際には、環境にじゅうぶん注意を払っていただきたいのである。
 
 ここまで考察してみると、シースルーとは、「隠されて明らかにされていない状態のもの」を、透過して「部分的に開示する」こと。もしくは、透過して「部分的に隠蔽されたままにする」こと。そうした“まだらな開示”であるというのが、シースルー・タイプのパンツの面目躍如であり、私が述べてきた「調子を上げるパンツ」の可能性ということになるのだ。

 つまり、「透けて見えている」というのは、いい換えれば「透けているが見えにくい」でもあり、環境においてそれが「見えてしまっているから困る」というのと、「全て見えていないからじれったい」という2つの心理的現象を生み出す。
 いずれにしても、「透け感」は、全てが開示されてしまいそうな緊張感、及び全てが開示されていないことの欲求不満とが交差し、その次のステップで予期される「全面開示」という期待感は、危険をともなって心理的予兆効果をもたらすのである。
 
 「透ける」という、このことに触れずして、パンツ論を語り尽くすことはできないという思いがあり、今回はかなり露骨なパンツを紹介した次第である。ご理解願いたい。
 次回からは、いよいよジョックストラップのパンツを紹介していくことになる。ジョックストラップはそのきわどい構造の美観から、これまで以上に露骨な画像をお見せすることになるので、パンツ論の核心まで探りたい方はご覚悟を――。
 
 次回はまず、私にとって“最上の羞恥心”をさらすことになる、“お尻”について語ることにする。

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