性的同意は愛情のしるし

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Sexual consent

 
 お互いにセックスについて門外漢を決め込んでいる夫婦は、性的同意を得ていない性行為に及んでいる場合が、少なくない――。
 

性的同意。日本人にとって難しい通過点だ

 しかし、セックスは自分がするかしないかだから、大事なこと。避妊の手順に不安や落ち度があるようなら、即やめること。しっかりと相手にその意思をことばと態度で伝えられるようにしたい。
 
 性的同意について詳しく知りたい方は、恐縮ながら[男に異存はない。性の話。]の「セイテキドウイってなに?」を読んでいただきたい。
 

2026年9月13日付朝日新聞のトピック

 
 ここでは、2026年9月13日付朝日新聞「夫婦間で『したくない』なぜ言えない? 日本人に足りないものとは」の記事を紹介する。記事の解説者は、奈良女子大専任講師で家族社会学を教える岡田玖美子さん。
 
 岡田さんは、日本では夫婦の間に性行為があることが当然視されてきたと述べ、性行為をしたいと思うタイミングも性に対する考え方もそれぞれだという。こんな懸念する発言もある。
 
《性的同意は、性行為のたびに形式的な確認をしたり、同意の記録を残したりすることではありません。お互いの気持ちを尊重し、対話を重ねながら「大丈夫だ」と思える状態をつくること。そのプロセスこそが、性的同意だと考えています》
 
 夫婦なのだから性行為するのが当たり前(=子を産むためのセックスである)、というところから、風習として日本人の感覚にあるので、そういわれても何を尊重し、何の対話を重ねるのかよくわからない――という難しさがある。
 
 形式的といえば、婚姻そのものが性的同意を既に得ているのではないか、という認識が根強い。
 これが日本人どうしの夫婦間というものであり、岡田さんの見立てのままでは、やや認識が甘いのではないかと思う。子を生むためのセックスという前提が崩れていることで、より夫婦間の性的同意の必要性が問われているのだと逆に理解したい。
 
 また、岡田さんは、《背景には、十分な性教育を受ける機会が乏しかったことがあると思います》と述べている。これはまさにその通りで、時代によって性教育の根幹が変わり、もとは純潔教育、今は多様な性の在り方で交わす生殖、避妊、性感染症などを理解するための包括的なセクシュアル教育となっており、かなり内容が違う教育となっている。
 
 日本の公教育においては、愛情の高まりとしてもたらす「性行為」もしくは「性交」のメカニズムには極力ふれずに、個々の学校の裁量に任せている。また日本人は、動物的な感覚としての露骨な表現(教育指導)を好まない傾向があるので、どう転んでも到底、欧米のような「性交教育」にはたどり着けないだろう。
 
 それゆえに、性行為に伴う性的同意を子どもたちに教えることが、難しくなってしまっているのだ。
 

対等ではなかった夫婦間

 結婚は、妻が夫に性を授けるもの、妻は家庭を守り、外で働く夫を支えるもの、という意識が根強くあった。なので、夫婦は対等なのではなく、女性は性的な事柄に関して後ろめたさや恥ずかしさがあり、なるべく口に出さないでいた。
 セックスは夫に主導権があるのが当たり前――という感覚だったので、女性の「したくない」は「はずかしい」と誤解されたり、「俺に任せておけばいい」という夫の主導的な立場で性行為がおこなわれてきたのである。
 
 さすがに今は、そういう時代ではない。それは古い考え方である。
 しかし根強くあったものはなかなか消えず、夫婦は対等であり、セックスは相互に主導権がある感覚には、なかなかたどり着いていない。
 
 妻がセックスを拒否する時、夫はそれがどういうことなのか理解できなかったりする。岡田さんはこう述べる。
 
《性行為がない夫婦が問題なのではありません。問題なのは、気持ちにずれがあるのに話し合えない状態です》
 

セックスは相互の愛情表現

 相手への思いやりに欠け、愛情がない夫婦というのが成立してしまうのであれば、そこに性行為は不要だ。しかしそうではなく、夫婦間にしっかりと愛情があり、性行為を求められる段階であっても、気持ちのずれが生じることがある。
 
 この気持ちのずれを、相手にどう説明したらいいのか悩ましい。ただ、愛情さえあれば、さほど難しい問題ではないのかもしれない。
 
 望まない行為に応じ続けることも苦しいが、相手にずっと拒み続けられてしまうことも苦しい。いったいお互いは、どこに向かおうとしているのか。セックス云々を考える前に、まずお互いの愛情について、しっかりと確かめ合う=話し合う必要があるのだ。
 
 愛情を確認し、そのうえで、私たちのセックスはどうあるべきかを考える。相手はこう思っているのだと決めつけることは間違っている。私たちにセックスはなぜ必要なのか、それとももしかしたら、いらないものなのか。話し合うことはとても大事だ。
 
 それが理解できた後の心苦しさは、多少なりとも避けられないかもしれない。
 だがそこで、お互いにおおらかな気持ちが必要なのだ。これからの長い時間の中で、自分も相手も考え方が変わっていくことがあるだろう。その都度話し合ってみればいい。夫婦の性生活はゆったりとした気持ちで愛情を高め合うものだ。明日は変わってくるかもしれないし、もっと多くの時間が必要になるかもしれない。
 
 つまり、性的同意とは、求めているものの本質を知るきっかけになるのだ。
 

◆性的同意の「したくない」時の問題点と解決方法について

3つの「したくない」

  • 今は、したくない
  • ここでは、したくない
  • そういう行為は、したくない

 
 これらは根本的な愛情の問題ではなく、その都度のセックスに対するやる・やりたくないの問題であるから、その意見を尊重し、受け入れてあげればいい。「また今度ね」ということである。
 
 それ以外で、強烈なショックを伴う「したくない」がある。

  • あなたとは、(なるべく、もう)したくない
  • あなたとのセックスは、絶対にイヤ

 
 セックスの拒否権行使のみならず、根本的な愛情にかかわる不信感が募った時のことば。
 
 体がふれあうことの拒否もしくは遮断は、相手に対する愛情を見失ってしまったことにもつながる。愛が冷めた、と判断するにはまだ早いが、そうでないならそうではないと、誤解されないようにしっかりと伝えるべき事柄である。なぜセックスが嫌なのかを。まだあなたに対しては、愛情があるのかもしれないが、何かわからないことをお互いに解決しなければならない事態である。
 
 ともかく、そういう場合、長期的にセックスをしないこと、もしくはお互いに会わないことを決める必要がある。
 のちに気持ちが変わる可能性もある。その時のために、何を捨て、何を残しておくべきか話し合っておく。
 子どもができてから、セックスに対する関心が薄れてしまう人もいる。あるいはもう子どもが大きいから、セックスはしません、とか。
 夫もそろそろ勃起不全になってくる頃だ。しかしお互いに少しでも性欲があるのなら、性交を伴わない他の選択肢の性行為はいくらでもある。肉体的関係も含めて、愛情表現のバリエーションはなるべくあったほうがいい。
 

男と女の本音を知る

 

この号の『an・an』の表紙は中島健人さん

 
 『an・an』(マガジンハウス)の2021.7.14号(No.2257)号。表紙は中島健人さんだ。
 
 知る人ぞ知る、『an・an』独自のアンケート調査。「ananセックス白書2021」は、20~40代の女性300人と男性100人に調査をおこなっている。
 
 「性欲は強い方だと思う?」。そうだと答える人は、6割を超える。男性では86%。
 「セックスをする相手は?」で多いのは、「1人」。約7割がそう。
 「セックスは好き?」で「好き」もしくは「どちらかというと好き」と答えた女性は85%。男性は「好き」が92%。
 

この号の「SEX特集」の目玉は中島健人のビジュアル

 
 「自分からセックスに誘うことは?」は、「よくある」「ときどきある」が50%。ことばで「しよう」と誘う女性が多いという。
 「女性にとってセックスとは?」は、「愛情と体の満足」が多く、次に「快楽」だった。
 「パートナーとのセックスに満足しているか?」は、「満足」「やや満足」が58%。愛情があるから満足もできる。
 

かなり肌を露出させている中島さん

 
 性欲は男女ともある。セックスも意外と好きなほう。だけど、セックスは愛情と体を満たすもの。愛情がなければセックスはしたくない、というのが本音。したとしても苦痛である。
 

若者のセックスライフを演出している

 
 ちなみに、2026年の同様のアンケートでは、男女とも「性的同意をしている」は半数を超える。
 パートナーとのセックスの話は、主に「したい」とか「したくない」などの気分的なことが多く、避妊や性感染症のこと、妊活について話をする人は2割に満たない。本当は大事なことなので、ぜひそういう話は積極的にするべきだ。
 
 年々、日本人のセックスライフが乏しいもの、関心が薄れてきている傾向がある。セックスの頻度、回数、その中身についての関心度が低くなってきている。

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