Modern virgin
週刊誌『平凡パンチ』の「過激な童貞喪失論」では、1970年代の一般男性に向けて、童貞喪失を積極的にうながす通念が浮き彫りとなった。昭和期の常識は、“童貞は捨てよ”、“童貞は公害だ”――だったのである。
では、現代の童貞に対する社会通念、その実際的な事情はどうなのか。
“人間と性”教育研究協議会会員の村瀬幸浩氏の著書『3万人の大学生が学んだ 恋愛で一番大切な“性”のはなし』(KADOKAWA)より、現代の童貞論をさぐってみたいと思う。
童貞はみっともないか
村瀬氏が大学で性教育の講義をおこない、学生からのレポートが返ってくる。
そんな中に、まもなく大学を卒業する男子学生が、仲間たちはほとんどセックスの経験があるのに、自分はいまだ「童貞である」ことが「みっともない」と嘆く者がいることに、村瀬氏は半ば驚く。
今現代においても、童貞や処女という言葉が使われ、セックスの未経験にコンプレックスを抱く若者は少なくない。いや、むしろ増えているのかもしれない。
この本の中で村瀬氏は、こう述べている。
――性交体験の有無が、その人の価値、存在の意味とはなんの関係もない。大事なのは、初交体験の早い・遅いではなく、幸せな体験だったかどうかだ。お互いに、性交を心から望んでいたかどうか。
初交の不十分さを悔やんだり、反省したりすることはあるけれど、良い関係づくりの教訓と考えればいいのであって、最初の失敗体験で人生を投げ出すものでもないのだ――。
性交体験率
日本性教育協会が実施した「第8回 青少年の性行動全国調査報告」(2019年)での、学生の「性交体験率」を見てみると、このような結果が出ている。
1974年調査の統計では、大学生男子が24%、高校生男子が5%。
2017年調査の統計では、大学生男子が47%、高校生男子が13.6%。
しかし、興味深いのは、2005年の調査では、大学生男子は60%、高校生男子は21%であった。つまり年々、性交体験率が低下しつつあり、その不活発化傾向にあるというのだ。
性行動に消極的?
若者の、性へのイメージのマイナス傾向も統計上見られる。とくに高校生女子が顕著だ。
男女とも、何らかの事由で性行動への関心が薄れてきているとみていいが、これは、70年代の若者と同じ事由――メディアにおける性情報の氾濫、性犯罪、性感染症への過剰な不安もしくは警戒感などが要因かと思われる。
また、男子は初交の動機が、パートナーを「愛していたから」、「好きだから」が圧倒的に多い中、「経験してみたいと思っていたから」が女子の回答に比べて多い。
かつての時代の「童貞喪失論」は、女性への思いやりに欠け、無鉄砲かつ独善的な論であったことは、現代の若者にも認知されているであろう。
それでもやはり、今でも、自分が童貞であることに一抹の恥ずかしさや不安を抱いている若者男性は少なくない。
性体験は、大人への通過儀礼でもなんでもなく、幸せな気持ちや愛情を互いに共有し合うための、最良の方法の一つであると認識すべきだ。したがって、それ以外の方法は、いくらでもある…かもしれないが、最良という点において、セックスはそれに勝るものはないとも思う。
昔よりも、性行動への関心が薄まってきているのは、已むを得ない事情かもしれない。しかし、男女が無分別に童貞・処女喪失を急ぐばかりに、相手の心と体を傷つけるより、何倍もましである。
それでもなお、セックスは、お互いにとって素晴らしい愛情表現となりうる体験だ――ということは覚えておいてほしい。